【突然の契約破棄】
1月30日。
自分はチームのプレジデントに呼び出された。
「君と契約できないかもしれない」チームのトップの人にそう言われた。
いきなりで意味がわからなかった。
頭が真っ白になった。
なぜなら、その3日前に必要な契約書に自分は
何枚もサインした。
ドイツで、このチームで結果を残す。そう心に誓い、気持ちは高ぶっていた。
話を聞いてみると、クロアチアサッカー連盟と
ドイツサッカー連盟の連携ミスで自分が国際移籍するための書類が揃っていなかったらしい。
クロアチアは旧ユーゴスラビアに属しており、
移籍するにもまた少し特殊らしい。
マーケットが1月31日18時に閉まってしまうため、残された時間はたったの24時間だった。
自分は何もできない。後は連盟がうまく手続きをしてくれる事をただ祈るばかりだった。
結局、ドイツでの契約は破棄となった。
絶望した。目の前が真っ暗になった。
人生で初めてフリーの選手となった。
色々と考えた。
日本へ帰らないといけないのか。
家は?給料がないし生活は?
そっからの日々は生きた気がしなかった。
とりあえず1週間、契約破棄になったチームが練習をさせてくれることになり、家にも住ませてもらった。
何とかしなきゃいけないという気持ちから色々な人へ連絡した。
クロアチアのチーム。ドイツにいる日本人。
お世話になった事のある代理人など。
すると、クロアチアのチームからお前なら戻ってきてもいい。そう連絡をもらった。
嬉しかった。
でももう一つ自分は選択肢があった。それは今から夏のチームをヨーロッパで探すということ。
ドイツに来てからまだ3週間しか経っていなかったけど、良いGKコーチから様々な技術、メンタルを学び成長を感じている自分がいた。
だから自分はある決断をした。
所属チームなしで、色々なチームの練習へ行きGKを学ぶということ。
GKを獲得したいというチームが出てきた場合、
すぐに練習参加をするということ。
これらはフリーの選手でなければできないことである。
色々悩んだ結果、ドイツに残る事を決断した。
今回の出来事は珍しい。だからこそ自分にしかできない経験でもあるので、プラスに捉え成長に繋げようと考えている。
もちろん試合ができないというデメリットはあるが、この早い時期からヨーロッパでチームを探せば良いチームは見つかりやすい。
また今、練習参加させてもらっているチームのGKコーチは元ブンデスリーガで経験のある人。
このGKコーチからも色々な事を吸収し、学んでいきたい。
この先チーム、場所、練習環境など、どんどん変わり難しくなる。色々な人と出会い、別れを繰り返し、コミニケーション能力も重要となる。
過酷なのは今ではない。これからだ。
今回の出来事、この決断を必ず成功に繋げる。
あの時、こんな事があったからこそ今、自分は夢を掴むことができている。
そう言える時が来ることを信じて、熱くガムシャラに努力していく。
辛い時も、苦しい時も前だけを向いて歯を食いしばって全力で突き進む。
絶対自分に負けない。
古屋俊樹、世界への挑戦は続きます。